About UsEssayGlossaryRecitalDiaryLinksKioskQ & ABibliographyMailHome
Page No.10
◆ アンティーク・オルゴールを鑑賞する (初めて来られた方へ ) ◆
Essay010 掲載 2005/5/8

アンティーク・オルゴールの世界はとっても素敵な世界です。でも外国語(フランス語が結構出てきます)の専門用語がやたらと出てきて敷居の高い世界でもあります。それではいけないということで初めてこのサイトを訪れた方達のためのエッセイを書いてみました。このエッセイは下記の3編から成っておりますので続けてご覧ください。

     第1篇 Essay010 「アンティーク・オルゴールを鑑賞する」
     第2編 Essay011 「アンティーク・オルゴールの資料を探す」
     第3編 Essay012 「オルゴールを手軽に楽しむ」

青い文字をクリックするとその言葉の詳しい説明がポップアップします。エッセイの中の写真(サムネイル)をクリックすると写真が拡大表示されます。このホームページではすべてのページについて、この表示方法を採ります。
アップライト型のアンティーク・ディスク・オルゴール
← クリックすると拡大表示します。

さて今、あなたはアンティークのディスク・オルゴールの前に立っておられます。なんだかものすごく大きくて威圧的な格好をしていますね。左にあるのは標準的なアップライト型オルゴールで、高さ225cm、幅85cm、奥行55cm、重量が115Kgもあります。古典派建築のような重々しい装飾のついたデザインをチュートン様式と呼ぶようです。作られてから100年以上経過しているのでシェラック・ニスも濃い色になっています。

動力は大きなゼンマイで右側の側面についているハンドルで巻き上げます。ディスクという交換可能な円盤に音楽を演奏するのに必要な情報が突起(プロジェクション)などの形で記録されています。こういう機械はほとんどがコイン・オペレートです。では1ペニーのコインを入れて動かしてみましょう。側面の上のほうにコインを入れるところ(コイン・スロット)がありますので1枚入れてください。
  
     ♪ 1ペニーのコイン投入 ♪ ← クリックしてください、演奏が始まります。
「あとりえ・こでまり」所蔵、著作権保有


今歌っている曲は古いアイルランド民謡でドイツのフリードリッヒ・フロトーがオペラ用に編曲した「夏の名残の薔薇」又は「庭の千草」をオルゴール用に再度編曲したものです。演奏に使ったオルゴールはポリフォン社製で最も大型である24インチ 5/8のディスク・オルゴールです。
演奏はいかがですか? 演奏時間は2分と6秒です。演奏をこの短い時間に圧縮しても原曲の魅力を充分に語っているのにお気付きでしょうか。途中に1回だけ静寂の瞬間がありますがオシャレですね。まるで弦楽器のような連続音、ハープよりもたくさん鳴っているかのように聞こえるグリッサンド、豪華なコーダ。これらの魅力はすべて100年前に活躍した編曲技術者(ほとんど名前が伝わっていません)の腕前にかかっているのです。

オルゴールと聞いて皆さんはどのようなモノを想像されますか? 多分手の平に載るぐらいの大きさのかわいい機械のカケラを思い浮かべられたのではないでしょうか。 ギヂギヂギヂと壊れそうな音を立てながらゼンマイを巻き上げる、そして最初は単純なメロディーが走り始めるが、すぐに息切れ、力尽きてスローダウン、突然に中途半端なところでギブアップして停止。それともあなたは既に観光地などのオルゴール館で大きなオルゴールを聞かれたかな?

このサイトでは100〜200年前に作られたアンティークのオルゴールを取り上げております。当時はCDやレコードがありません、音楽は人が演奏した瞬間しか楽しめなかったのです。そこへ長年の練習もなしに誰でも望むときに優れた音楽を楽しめる機械が登場したのですから、さぞや歓迎されたことでしょう。
チェコで作られたアンティークのシリンダー・オルゴール 左はチェコのプラハで作られたウィレンバッハー・ウント・ルゼビチェックのシリンダー・オルゴールです。
出典 Kammspielwerke aus Wien und Prag:Tanzmusik OEAW PHA CD 6
( Musical Boxes from Vienna and Prague: Dance Music )のジャケット
著作権者Oesterreichischen Akademie der Wissenschaften 2005年1月10日付文書による掲載許可、転載禁止
アンティークのシリンダー・オルゴールのサンプルです。ゼンマイをキーで巻き上げてスタート・レバーを引けば演奏が始まります。曲目は今はあまり聞かれていないベルリーニのオペラ「ノルマ」の序曲で、チェコのプラハで作られた珍しいルゼビチェックのオルゴールによる演奏です。

     ♪ Startレバーを引く ♪ ← クリックしてください、演奏が始まります。
Mechanical Music Vol.2 Operatic Melodies OEAW PHA CD10 Trk#6
著作権者Oesterreichischen Akademie der Wissenschaften 2005年1月10日付文書による掲載許可、転載禁止



200年前から作られてきたシリンダー・オルゴールは当時の物価水準から推定するとかなり高価な贅沢品でした。100年ほど前にごく短期間(20年ぐらい)だけ作られたディスク・オルゴールは街角のパブなどで庶民のために小銭と交換にささやかな娯楽の音楽を聞かせていたものが大多数でした。オルゴールはメーカー間の競争が激しかったため音楽の質(この場合編曲の腕前)はきわめて高かったように思います。
このエッセイは全部で3編から成っておりますので続けてご覧ください。
        ここは第1篇 Essay010 「アンティーク・オルゴールを鑑賞する」です。
     次は第2編 Essay011 「アンティーク・オルゴールの資料を探す」です。
最後は第3篇 Essay012 「オルゴールを手軽に楽しむ」です。


| 前のページ  | 目次  | このページ先頭  | 次のページ |

著作権保有 © All Rights Reserved 2005 あとりえ・こでまり