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◆ ディスク( Disc または Disk )について ◆
Essay009 掲載 2005/4/24
で音楽のデータを記録した丸くて薄い鉄の板のことです。ごく初期には亜鉛( Zinc )で作られたものもありましたが耐久性という点で鉄の板に取って代わられました。音とは無関係なはずのディスクの材質が音質にかなり影響があるのは不思議なことです、なぜなのかサイトオーナーは説明できません。経験則で言えばベストは分厚い亜鉛鍍金(白いメリケン粉のような錆を吹くのが特徴、当時は電気鍍金ではなくて、溶融した亜鉛に浸すいわゆるドブ漬だと推定しますが)のオリジナルです。次点は( Barry Johnson Music Box Co )のディスクでしょうか。
小さい物は(11.5cm 製)から大きなものはコメット社製の(85.1cm)まで作られました。ちなみにコメット社製33インチのオルゴールは4台所在がはっきりしております。1台はドイツの博物館にありCD(WergoのSM 1201-50)で聞くことができます。もう1台は日本の個人のコレクターが持っております。
ディスクの互換性について当時は全く考慮に入れられていなかったようです。同じメーカーでもほとんど変わらないサイズのディスクが並行して生産されていました。たとえばシンフォニオン社のディスクのサイズはのようにたくさんの種類がありました。回転方向も時計回りがほとんどですが、中には反時計回りのものもありました。同じサイズで異なる駆動方法のディスクが並行して生産されていたものもあります、在庫管理は大変だったことでしょう。
下記の場合だけ例外的にディスクの互換性があります。 8インチ 1/2 、 11インチ ポリフォン社、レジーナ社 11インチ 3/4 シンフォニオン社とモノポール社 12インチ 1/4 ポリフォン社、レジーナ社 13インチ 5/8 シンフォニオン社とモノポール社 15インチ 5/8 ポリフォン社、レジーナ社、、 このサイズのクライテリオン社の櫛歯は同じ調律パターンを持っているのでの位置をずらしてのディスクを作れば互換可能(氏よりの情報)。 19インチ 5/8 ポリフォン社、セレステ( Celeste )、セレスタ( Celesta )
ディスクの駆動方法に関しては下記の3種類がありました。
主として15インチ以下の小型のものによく使われました。中心の穴の近くに穴を開けてディスクを駆動する棒(ディスク・ドライブ・ドグと呼び通常2本)を出すものです。
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中央のセンタースピンドルの周りに2本のディスク・ドライブ・ドグが出ています。
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ディスクの外周に穴(スプロケット・ホール)を一列に開けて歯車(スプロケット・ホイール)で駆動するものです。スプロケット・ホールの形にも特許があり、各社でいろいろな形をしていました。
ディスクの周りにあけられたスプロケット・ホールとそれに噛み合う歯車が見えます。
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、 ディスクの外周に歯車を作っておいて駆動するものです。今でも製(元製)の小型ディスク・オルゴールに見られます。
ディスク・オルゴールのトラブルの内かなりの部分をディスクが起こしております。
オルゴールが作られた時代のオリジナル・ディスクは錆びてプロジェクションが弱くなっている物が多いです。演奏中に錆びたプロジェクションが折れてスターホイール・ガントリーの中に落ち込み動かなくなったら大変で、大掛かりな分解修理が必要になります。普段の演奏にはリプロダクションのディスクを使用することを強くお勧めします。
オリジナルのディスクが錆びていた場合は薬品で処理することはお勧めできません。当面綺麗になっても時間がたてば問題を起こすケースが多いようです。私もいろいろと試しましたし、リストア工房の方たちにも聞きましたが決定版といえるものは無いようです。適当な粒度のサンド・ペーパーがベストです。表面のタイトルなどの文字などを消してしまわないように注意してください。裏面の錆をなくすのは無理でしょう。サンド・ペーパーで錆を落としたら、錆の進行を止めるためにニスやクリア・ラッカーなどで塗装しておけばよいでしょう。
センタ−・ドームのあたりでキーキーという雑音が発生する場合は油が切れていますので、センター・ドームの周囲を油(クロック・オイルを推奨)のついた布で拭けばよくなります。
のディスクは裏面の平滑度と清掃が重要です。ディスクの裏面を、を構成する部品が滑っていく構造となっているため、ディスクが錆びたり曲がったりしている場合はその部品を破損してしまう場合があります。サイトオーナーはディスクの裏面に油を塗る専用の道具(木製の取手に直径10cm厚さ2cmぐらいの円板形のフェルトをつけたもの Stella Oiler)を見たことがあります。この道具はMMD(Mechanical Music Digest)と言うサイトので見ることができます。
ディスクはたくさんのプロジェクション(穴)が開けられているため簡単に曲がってしまいます。また、足の上に落とせば大怪我必須、必ず両手で持ちましょう。プロジェクションの詳細に関してはGlossaryのG0618をご覧ください。
によく見られるのですが、センター・ドームが長年の使用で上側だけが磨り減って(ディスクの重量がセンター・ドームの上側だけにかかるため)ディスクが下にずれて取り付けられてしまうものです。ひどい場合は何という曲かわからないこともあります。これの修理は専門家の出番でしょう。不用意にセンター・ドームを取り外すと後で復旧するときに調整が大変です。
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