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◆ ポリフォン104型 19 5/8インチ ディスク・オルゴールのコスト No. 1 ◆
Essay004 掲載 2005/4/21

アップライト型のディスク・オルゴールはたくさんの会社によっていろいろな大きさのものが製造されました。その中で大きさも中庸(日本のリビング・ルームに置ける、大人2人で運搬可能)で、生産された台数も多く、音や編曲も優れていて補修部品やディスクが容易に入手できる機種といえばPolyphon 104型と呼ばれた直径が19インチ5/8 (50cm)のディスクを使用するものが真っ先に上げられるでしょう。今でもスプリング・モーターのような大物部品からダンパーダンパー・レールスターホイールガバナーなどの補修部品やリプロダクションのディスク、ビンペディメントも入手可能です。オリジナルのディスクも市場に数多く出回っておりますし、新しい曲の編曲を頼むことも可能です。
5台ともポリフォン104型
5台ともポリフォン104型です。
左端より2枚は撮影記録なし。
左端より3番目の写真は東京都渋谷区にある川上楽器の好意で撮影したものです。
左端より4番目の写真はこの写真は京都市右京区にある京都嵐山オルゴール博物館の好意で撮影したものです。
右端の写真は大阪市内のある喫茶店の好意で撮影したものです。
アンティーク・オルゴールのCDを鑑賞しているとやはり実物を手元に置いて聞いてみたくなるのが普通です。そこでいろいろなチャンネルでの価格を調べてみました。

このEssayの中で述べている個々のディーラー、海外や国内のリストア工房、リプロダクションのディスクを作っている工房等の名前につきましては懇意にしている複数のディーラーから得た情報がかなり含まれています。このディーラーは私を信頼してトレード・シークレットを教えてくれました。したがって個々の名前などについてお問い合わせいただいても回答することができませんので悪しからず。

サンプルを採った参考資料は下記のとおりです。
イギリスのクリスティーズ社、サザビーズ社、アメリカのスキンナー社のオークション・カタログ、ドイツのオークションチーム・ケルン社の広告、MBSIの機関誌に掲載された広告、ダイレクトメール、

落札価格統計の表に出てくる下記の用語は説明がありますので必要ならばクリックしてください。
アールヌーボー  オート・チェンジャー カウンター型       コイン・ドロワ ダンパー
ダンパー・レール テーブル・トップ型  バイヤーズ・プレミアム ビン       ペディメント
モーター・カバー  リプロダクション   リストア

落札価格統計の表はいろいろなことを語りかけてくれます。

オークションで落札された価格は大変安い。
多くはアズイズ( As is 現状渡し=リストア作業の材料)という条件なので、状態は実際に見て聞いて確かめねばなりません。リストア済みと書かれていない限りまともに動くと思ってはいけないでしょう。私のエロイカは1/4回転で止まってしまい大きな音とともに部品が壊れました。最低限、工房での点検、清掃、注油は必須です。

リストアされたものはそれなりに高価。
いつごろのリストアかが重要です。リストアの有効期限は約20年でしょう。

テーブル・トップ型とアップライト型との価格差はあまり大きくない。
19インチのポリフォンの場合アップライト型はありふれていますが、この大きさのテーブル・トップ型(アップライト型と比較すると通常は安い)はかなり珍しいためと思われます。ポリフォンのオートマチック・ディスクチェンジは極めて珍しく動きも面白いので高価なのは当然です。

ビンやペディメントの有無は価格に影響を与えない場合もある。
状態のよいビンはリプロダクションが多く、オリジナルのビンはボロボロの場合が多いようです。パブなどに設置されたオルゴールのビンはたびたび酔っ払いに蹴っ飛ばされたのでしょう。ペディメントは上に差し込まれているだけなので、オルゴールの上部を物置として使われた場合は邪魔なので取り外されて紛失していることが多いようです。

エスティメートは概ね正しい。
これはすごい。多年にわたる経験!オークション・ハウスはどのようにして見積もるのでしょう?

価格は少しだけ上昇傾向にある
大きな値上がり益を期待するのは誤りですが、値下がりも期待できません。
昔オルゴールの値上がり益を狙った投資信託を企画した人がいました。バブル期の日本における価格を考えるとゾゾ〜っとします。

この表には入手に必要な諸経費が計上されていません。

オルゴールにかかる費用
日本までの運賃、保険料、梱包料。日本の税関を通すときに支払う消費税と通関手数料。自宅までの国内運送費と保険料、その費用にかかる消費税。

日本国内でリストア作業を依頼する場合にかかる費用
リストア費用と消費税。リストアする工房までの運賃と保険料。リストアが完了して工房から自宅までの運賃と保険料。

海外の工房にリストアを依頼する場合にかかる費用
リストア費用。リストアする工房までの運賃と保険料、輸出手続の手数料。リストアが完了して工房から日本の所轄税関までの運賃と保険料。再度輸入する際、日本の税関を通すときに支払う消費税と通関手数料。所轄税関から自宅までの国内運送費と保険料、その費用にかかる消費税。海外のリストア工房に支払を実行する振込手数料。

不足するものの買い足し (ビン、ペディメント、ディスク)
ビンやペディメントは国内で発注可能です。ディスクは輸入しなければならないので運賃と消費税。オルゴールについてくるディスクは錆やプロジェクションの折損(ムリに演奏するとムーブメントを壊す可能性があります)も多くオマケと考えるべきです。

次のNo. 2はポリフォン104型のオークションにおける落札価格やディーラーの提示価格などの統計表です。
その次のNo. 3ではポリフォン104型を海外のオークションで落札して、リストアし自宅で楽しむまでに必要な費用をシミュレーションして見ます。

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