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◆ ポリフォン104型 19 5/8インチ ディスク・オルゴールのコスト No. 2 ◆
Essay005 掲載 2005/4/27

前のbPと,2に続いてポリフォン104型ディスク・オルゴールの購入をシミュレーションしてみました。この記事は私が4回個人輸入したオルゴールのデータに基づいて書いております。シミュレーションを行うにあたり下記のような前提条件を設定しました。

為替レートはUS$=105円、 イギリス£=200円で換算しています。

アメリカのオークションで落札、イギリスの工房にムーブメントだけのリストアを依頼。私は国内の工房に依頼したことがないので、この例はイギリスまで輸出し、再輸入の形をとっています。ケースは国内の家具修理工房に依頼しました。

国内の工房の例としてMBSI日本支部の大森氏(ハイランド・アンティーク)のサイトを見てください。ここでは日本語で発注できます。

一部破損しているが部品の欠品はない機械で、櫛歯スプリング・モーターのような重要部品は修理可能と想定しています。

櫛歯の調律はやりません。完璧な調律作業(理論値とはかなり違います)はスイスのある工房に依頼しなければなりません。

ケースは小さな装飾部品が何点か欠品。国内の家具修理工房へ補充を発注。ビンペディメントは無かったので国内の家具修理工房で新作。私見ですがビンはなくても演奏を楽しむことができます。ペディメントは強烈な個性を主張しているので、無いほうがすっきりしていて日本のインテリアに似合うのではないでしょうか。

通常はオリジナルディスクが1ダース程度付いてきますが多分錆だらけなので、演奏用としてリプロダクションのディスクを2ダース発注します。

海外輸送はすべて航空機使用。船では海水の近くに長期間(60日以上)置いておかれるので問題があります。

私が依頼したのはエロイカというやや珍しい機械なので、十分な経験を積み参考となるオルゴールを持っているイギリスの工房を選びました。

次ページの表に出てくる下記の用語は説明がありますので必要ならばクリックしてください。
ケース  シェラック  スプリング・モーター  ダンパー  バイヤーズ・プレミアム
購入シミュレーションの表には下記の注記があります。
1. サザビーズやクリスティーズのオークション・カタログはサイトから年間購読申込が可能です。

3. これを忘れてはいけません。ビッドする値段を決めるときに必ず加算して考えてください。

4. カードの決済は結局高くつきます。

5. 国内の通運業者に聞けばオークション会場に近い海外支店の電話番号を教えてくれます。

6. オークション・ハウスが紹介してくれる場合もあります。私の場合結構高かったと思います。  梱包業者はオルゴールのことを何も知りません。ディスクを取り外すこと、櫛歯が起き上がっていないこと(スターホイールを手で停止位置まで正しい回転方向に動かさねばならないが、逆方向に動かすとダンパーを破損してしまう)、櫛歯に細くて粘着力の弱いテープを貼ること、ガバナーにテッシュペーパーをはさんで動かないようにすること、オルゴールの下に十分なクッションを敷くこと、オルゴールを寝かせて(オルゴールを傾ける前にガバナーが動かないようにすること)運ぶことなど詳細に指示しないと運送中に壊されてしまいます。

7. 税関で開梱検査をする場合があります。そのときは立会いを求められます。私の場合も保税倉庫まで出かけて箱が巨大なレントゲン装置にかけられるところを見てきました。

8. 塗装や簡単な部品の補充でしたら家具の修理工房でも十分です。大掛かりに部品を作らねばならない場合は完成品がどのような格好をしているのかを説明しなければなりません。そのような場合は専門のリストア業者(経験がある、または手元に参考品となる実物を持っている)にしか任せられないと思います。

9. ムーブメントだけを輸出する場合は、動かないようにしっかりとした枠を作ってムーブメントを固定してからクッション材で包み、輸出梱包をしなければなりません。

10.再輸入するときに同じものが1年以内(1年を超えると税関は再輸入という事実を認めてくれないようです)に戻ってきたことを証明しなければなりません。オルゴールに刻印されているシリアル番号を写真に撮って税関に輸出通関前に通知しておかねばなりません。

11.修理費用は分解してみないとわかりません。このあたりはハイランド・アンティークのサイトに詳しく掲載されています。このEssayに計上した金額は4年前に頼んだ私のエロイカの実績額の半分弱です。エロイカはスプリング・モーターが2台、櫛歯が3組6枚で300ノート(内1本櫛歯が折れていて修理してもらいました)、ディスク3枚が同時に回転するという複雑な機械です。ポリフォン104はスプリング・モーターが1台、櫛歯が1組2枚で118ノート、ディスク1枚で演奏します。

12.輸出時の運送業者に頼まないと首尾一貫した処理ができなくなります。

13.手続きを誤ると再輸入のときに修理費の5%と本体の5%の消費税(本体部分に関して最初の輸入時と今回の修理再輸入時の2重課税)がかかります。

15.オルゴールについてきたディスクは多分錆々でプロジェクションも多数折れていると思います。演奏中にプロジェクションが折れてスターホイール・ガントリーに落ち込んでスターホイールの回転を止めてしまうことが考えられます。そうなったら修理が面倒。新品のリプロダクションのディスクを購入することを強くお勧めします。2ダースもあれば十分と思います。

17.国内でも経験のある工房ではリプロダクションのビンを素材から作ることは可能です。家具の工房に頼む場合はどのようなものか写真、図面、実物などを使ってよく説明しなければなりません。

18.ペディメントを新しく作る場合もビンと同様ですが、日本のリビング・ルームでは無いほうがエレガントでしょう。

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