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Page No.3
◆ プラハとウイーンのオルゴール Vol. 2 ◆
Essay003 掲載 2005/4/21 改訂1 2005/5/8
チューン・シートが残されている(ケースの内側、置時計の底、ミュージカル・タブローの裏側)場合は曲目の同定が可能ですが、失われている場合はその曲目が現在では忘れられた曲目が多く同定できないことが多いといわれています。曲目はスイス製のオルゴールによく見られるレパートリーのほかにオーストリア・ハンガリー帝国でよく聞かれていたマイナーな作曲家のものも多いです。ワルツで有名なシュトラウスのほかにランナーの作品、ハンガリアの民謡や舞曲などがよく見られます。 ここでルゼビチェック製のシリンダー・オルゴールの音をお聞きください。曲目はベルリーニ作曲オペラ「ノルマ」より序曲です。
♪ 演奏開始 ♪ ← クリックしてください、演奏が始まります。Windows Media Playerの画面を最小化すればこの文を読み続けることができます。
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オルブリッヒ製のミュージカル・タブロー。油絵の中の時計台には時計が組み込まれており、毎正時になると時報のゴングが鳴りオルゴールが演奏されます。
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アントン・オルブリッヒのチューン・シート、上右に製造番号11013、上左に463。
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ウインナ・スタイルのオルゴールのケースはプレーンな装飾の無い単なる箱が多く、内側の四隅に断面が三角の木材で補強されているのとシンプルな構造の蝶番が特徴です。ケースの右下から伸びている紐(糸?)を軽く下に引くとガバナー・ベーンの回転を止めているストップ・スプラグが外れて演奏が始まります
この写真は兵庫県西宮市にある堀江オルゴール博物館の好意で撮影したものです。
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ルゼビチェックとオルブリッヒによって作られたウインナ・スタイルのムーヴメントはずっと何の変化もなく生産を続けられたのが特徴です。スイスのメーカーがいろいろと新しい試み(、、、、の組み込み等)を積極的に行ったのとは対照的でした。またプラハとウイーンのオルゴールには独特の編曲が行われました。それはやなどのが少なくオリジナルの楽譜に忠実で、長音や休符についても繰り返しやトリルで埋め尽くされていません。プラハとウイーンの編曲者はよい響きと良く聞き取れるメロディーラインに留意していました。演奏時間を同じ大きさのオルゴールで比較するとスイス製よりもウインナ・スタイルのほうが長いです。この編曲のスタイルも長年変化がありませんでした。
そのため19世紀後半の消費者、特にオーストリア・ハンガリー帝国以外の消費者の支持をもはや受けられなくなっていきました。その間にスイスのメーカーが新しい音や編曲テクニックに力を注いで市場の賞賛を受け、プラハとウイーンのオルゴールは伝統的なスタイルを好むオーストリア・ハンガリー帝国の版図の中に限られてしまい生産は衰退していきました。最後にドイツからが輸入されるようになってウインナ・スタイルのシリンダー・オルゴールは過去のものとなりました。そのディスク・オルゴールも1920年までに蓄音機に駆逐されてしまいました。
兵庫県西宮市にある堀江オルゴール博物館にはウインナ・スタイルのオルゴールが10台以上(全てプレーンな木の箱に組み込まれている小型のもの)収蔵されていて予約すればいつでも見学可能です。 参考資料 下記のCDに添付された解説リーフレット Kammspielwerke aus Wien und Prag:Tanzmusik OEAW PHA CD 6 ( Musical Boxes from Vienna and Prague: Dance Music ) Kammspielwerke aus Wien und Prag:Opernmelodien OEAW PHA CD 10 ( Musical Boxes from Vienna and Prague: Operatic Melodies ) なおこのCDはウイーンのオーストリア科学博物館の発売でフルート・クロックが収録された下記の2枚とともに機械音楽のシリーズとなっている。リーフレットはヘルムート・カウアー氏(Helmut Kowar)執筆。 Wiener Floetenuhren um 1800 OEAW PHA CD 12 ( Viennese Flute Clocks around 1800 ) Wiener Floetenwerke des Biedermeier OEAW PHA CD 21 ( Viennese Flute Organs of the Biedermeier Period:Scenes and Arias from Operas ) このCDのパンフレットの翻訳および曲をこのサイトに掲載することについては2005年1月10日付Generalsekretär der Österreichischen Akademie der WissenschaftenのProf. Dr. Dr. h.c. Herwig FRIESINGERより書面(E-mail)で許可を受けております。ドイツ語でメールを送ってきまして、往生しました。このCDの輸入代行を引き受けますので必要な方は私宛メールをください。 参考文献 CYLINDER MUSICAL BOX TECHNOLOGY H.A.V.Bulleid Almar Press 1994 The Musical Box Handbook Graham Webb The Vestal Press 1984 The Music Box A Guide for Collectors W.J.G.Ord-hume Scheiffer Books
謝辞 関西チェコ/スロバキア協会の吉住能子氏にチェコ語(スラブ語系では発音、文法ともにもっとも難しい言語だそうです)の表記についてご指導を受けました。参考にしたリーフレットの原文はドイツ語と英語で書かれており、チェコ語の3種類の変音記号(チャールカ、クロウジク、ハーチェクというそうです)が印刷の都合で表示されていませんでした。
Reproduced with permission from “Kammspielwerke aus Wien und Prag:Tanzmusik OEAW PHA CD 6 Musical Boxes from Vienna and Prague: Dance Music” and “Kammspielwerke aus Wien und Prag:Opernmelodien OEAW PHA CD 10 Musical Boxes from Vienna and Prague: Operatic Melodies” by Prof. Dr. Dr. h.c. Herwig FRIESINGER, Generalsekretär der Österreichischen Akademie der Wissenschaften. 原著作権者Prof. Dr. Dr. h.c. Herwig FRIESINGER, Generalsekretär der Österreichischen Akademie der WissenschaftenよりこのCDのジャケットの翻訳および曲の一部をこのサイトに掲載することについて2005年1月10日付書面(e-mail)で許可を受けております。 転載禁止
参考となる記事が掲載されたの機関誌 Mechanical Music 1997 Winter Vol43-3 P2〜4 Mechanical Music 1998 Autumn Vol44-2 P11〜13 Mechanical Music 1998 Autumn Vol44-2 P23〜26 Mechanical Music 2005 Spring Vol51-1 P24〜31 ここには珍しいアインシドル"F.Einsidl"というメーカーのオルゴールに関する記事が掲載されています。ヨーロッパで見つかった54台を調査した報告です。
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