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Page No.35
◆ 現存最古の自動演奏楽器 ◆
E035 掲載 2013/8/15

オーストリア自然科学学会出版局から届いた出版物のカタログを眺めていると、シリーズで発売されている自動演奏楽器のCDが目に留まり輸入してみました。今回は第8巻で、タイトルはMusik um 1600( 1600年頃の音楽 )。このシリーズの恒例で27ページものブックレットが付いていますが、解説は全てドイツ語…読めません。カタログには英文の短い概要が載せられています。
収録されているのは現存する演奏可能な最古の自動演奏楽器( オルゴールの発明より200年以上前 )で、テーブルに飾る置物に組み込まれていました。トラック1〜4に収録されているのは写真1の1582年製トランペッター・オートマトン、トラック5〜10に収録されているのは写真2の船のオートマトンで1585年製、トラック11〜12に収録されているのはバッカスのオートマトンで1602〜1625年製、トラック13〜18に収録されているのはウォルバウム( Walbaum )のキャビネットで1620〜1625年製、トラック19〜22に収録されているのは写真3のミネルバの馬車で1625〜1630年製。

写真1のトランペッター・オートマトンで、下はレガール(小型パイプオルガン)の部分です。
全てにレガール( Regal 卓上型パイプオルガン )が組み込まれており、太鼓等の伴奏が付いていますが、機械的な演奏雑音(かなり大きい)も録音されています。独特のひなびた印象を与えている曲は、音楽学者である監修者ヘルムート・コーヴァー氏も同定できなかったようです。
スイスの特許庁に記録が残っている最古のオルゴールは1796年製のようですが、もう少し古い例がクリスティーズのオークション・カタログに掲載されていました。でもそれを遡ること200年前の1600年前後に音楽を自動的に演奏する機械が作られたとは驚きです。日本では1600年10月に関ヶ原の合戦、1603年には江戸幕府完成1615年4〜5月に大阪夏の陣が起こりました。

このCDに収録された置物はリストアが行われていて、400年程昔の音楽が聴けるようになりました。教会の尖塔に設置されている自動演奏装置の付いた巨大なタワーカリヨンはもっと古いものもあるようですが、音楽の愛好家が個人で聴ける規模の物では最も古くて貴重なものと言えますでしょう。

収録曲は22曲でたったの22分54秒、送料共で4800円もしました。日本人でこんな臍曲がりなCDをオーストリアから輸入したのはワタクシぐらいなものでしょうか?

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