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Page No.40
◆ 巻上げキー ◆
Essay040 掲載 2016/1/27


 シリンダー・オルゴールのゼンマイを巻上げる最も古い方式では、写真1のようにエンドフラップを開けて、ディバイダーに収められているキーをゼンマイから延びている四角い軸に差し込んで行います。写真2の様なフレンチ・クロックキーや、T型のハンドル、クランク型のハンドルも作られていました。巻上げがキーからレバーに代わったのは1860年頃で、それまでは音量が小さくソフトな音が好まれていました。それ以降は徐々に商業主義に毒されていき、大きな音量、最小限の櫛歯で最大限の効果、鐘や太鼓、カスタネット、チターの追加、曲数の増加とツーパーターンが作られて行きました。オルゴールの純粋な音を楽しもうとするコレクターにとっては「キーワインド」はとても魅力です。

 フレンチ・クロックキーと呼ばれるクラシックなデザインのものは、鋳鉄製で先端に四角い穴が開いていてゼンマイの四角い軸に差し込んで巻き上げます。当時ポータブルの手軽な動力源はゼンマイしかなかったので、オルゴールだけでなくオートマタ、時計等もこのようなキーが使われていました。四角い軸の一辺が基準で、2.50mm角用がヨーロッパの呼称でキーナンバー1号、0.25mm単位で大きくなり7.75mm角用キーナンバー22号まで作られていたようです。ただしキーナンバーはヨーロッパとイギリス、アメリカでメーカー毎に異なる場合があったようで、購入するときはmm単位で指定したほうがいいでしょう。シリンダー・オルゴール用は12号以上のサイズが適当でしょう。
12号 5.25mm角  13号 5.50mm角  14号 5.75mm角  15号 6.00mm角
16号 6.25mm角  17号 6.50mm角  18号 6.75mm角  19号 7.00mm角
20号 7.25mm角  21号 7.50mm角  22号 7.75mm角
 このタイプのキーは大柄で力持ちの西洋人相手に作られたもので、巻上げはとっても堅く、巻上げている指の皮膚が剥けそうに感じます。取引のある工房で巻上げキーの代わりに薄いラチェット機構( 取外して復旧可能 )を組み込んで、高齢の女性でも容易に巻上げできるように改造した例を見ています。あまり堅いようだったら写真3のロングケース・クロック用の巻き上げハンドルを改造して試用してみるつもりです。
 以前はナンシー・フラッティさんが12号から22号までのキーを販売( 20年前で1本15ドル )していましたが、製造していた工房が廃業したようです。彼女の提案でアンティーク時計の修理を行っている工房のサイトを探索。2社から大き過ぎると断られ、仕方がないのでe-bayを探索。アンティークのキーはたくさん在庫しているわけではないので、特定のサイズの巻上げキーを見つけることは大変困難で、その上高価です。私も半日かけて16号のキーを探し、1本だけの在庫を見つけて送料ともで40ドル≒5,000円を支払ったことがあります。

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