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Page No.36
◆ カード式200ノート・オルゴールの開発 ◆
Essay036 掲載 2013/10/9

ロールペーパーを演奏データの担体として使うオルゴールで、現行の製品は三協精機(現在の日本電産サンキョー株式会社)が開発したオルガニート20(写真1左端)と、その増強版であるオルガニート33(写真1中央)が有名です。それ以外に1960年代に同社で開発されてオルガニート140(写真1右端)を忘れてはいけません。その総生産台数は5台と言われていますが、定かではありません。140とありますが70弁のサブライム・ハーモニー・フォーマットの櫛歯を持っています。これに触発されて、アンティークポリフォン24インチディスク・オルゴールを上回る性能を持つカード式オルゴールを開発しようという企画を立てました。
目標とするカード式オルゴールは次のような特長を備えております。
ディスク・オルゴールに見られるようなディスクの内周(低音部分)の音数<外周(高音部分)の音数の制限が無い。
マイクとアンプを併用するので音量に制限が無い。
カードの長さに制限は無い。
レパートリィは編曲さえすれば制限は無い。
カードはレーザー加工機が有れば源データから簡単にコピー出来る。
ポリフォン24インチを尊重して159音はその音列を使うが、残りの40音で#の音を増強して短調の編曲を容易にする。

左の写真1は日本で作られたカード式オルゴール3種
左端より オルガニート20 オルガニート33 オルガニート140。

右の写真2はレーザー加工機の例

Universal Laser Systems Inc.の最小型機VLS2.30では最大加工サイズ406oX 304o(≒A3判)。このシステムでオルガニート20のカードを試作(写真2右)し、演奏に成功している。


採譜機

左の写真3はポリフォン社製24インチ・ディスク・オルゴールのディスクから演奏データをパソコンにCSVフォーマットで採りこむ採譜機で、あとりえ・こでまりが開発したもの。
★ フェイズ1 フィジビリティ・スタディ
@ 果たして成果として狙っているオルゴールは、世間に受け入れられるものなのか?
* 予定製造台数
オルガニート140は5台作られたと云われているが、同じようにこの企画でも少なくとも5台ぐらいは買ってくれる人を見つけたい。1台も売れないのならば開発する意味が無い。

* 操作をする人の為に
歌を歌いながらでも操作が簡単にできるように。
視力を失った人や病人でも演奏可能なように。
自由にテンポを変化出来るように。
運搬中の事故(ぶつけた、落とした)に耐えるように。
編曲はできるが機械音痴の音楽家でも操作できるように。
街頭の騒音に負けない大音量で演奏できるように。
出来れば軽量小型に、バッテリー駆動で。

A 櫛歯や、ダンパースター・ホイールのような基幹部品は簡単な手法で作れるのか?
* 櫛歯
櫛歯素材としてSANDVICK-23Pを狙いたいが、SK2Mで代用? 1-P7
櫛歯の設計は1-P6。
櫛歯は40ノート程度を1単位として分割して作り、失敗に備える。
機械加工と熱処理は外注。
調律はコンタクトマイクとオシロスコープを見ながら手で行う。
ストレッチは少し派手目に。
超低音部(櫛歯No.の1〜3程度)はWAVデータから電子的に再現。

* スターホイール
オルガニート20や33では鋼材をプレス抜きで作っているが、当企画では量が少ないのでエッチングやレーザーー加工、3Dプリンター等で作る。材料はBC、もしくはエンジニアリング・プラスチック。櫛歯の摩耗を防ぐためにスターホイールを消耗品と位置付け、交換作業が容易にできるように留意する。
スターホイール・ロッドは中間(櫛歯毎)にブラケットを設ける。

* ダンパー
薄いプラスチックでフェザー・ダンパーを作り接着剤で櫛歯裏側に取り付け。
燐青銅のワイヤーか細い帯板で、シリンダー・オルゴールのようなワイヤー・ダンパーを作り半田付。
ディスク・オルゴールのような横から抑えるタイプのダンパーは、高価で複雑なプレス金型が必要なので見送り。

B カードの送り
オルガニート20や33では手でクランクを回しフリクションによって紙カードを送りこんでいる。当企画では200ノート分の幅が必要なので、フリクションでは紙カードを破損してしまう。
リベリオンのような金属製帯板等で補強したスプロケット・ホールが複数列必要と思われる。

C カードの制作
写真2左のようなレーザーー加工機を使用する。
例としてUniversal Laser Systems Inc.の最小型機VLS2.30では最大加工サイズ406oX 304o(≒A3判)。カードの幅はMax400o。このシステムでオルガニート20のカードを試作(写真2右)し、演奏に成功している。

レーザー加工機では四角い穴も可能、孔間隔も詰められるし帯状に切断も可能。
レーザー加工機に与える入力データは音のキャンバスから出力されるpdfデータを使用。
音のキャンバスはMax33ノートであるが、これを改造して200ノートの出力を可能にする。
オルガニート20に無いような低音の重い櫛歯を弾くために、カードの材質(厚い紙、厚いプラスチック、孔の短辺を金属の薄板で補強)に留意する。

D 駆動方式
最初の試作ではマニベルとする。これは演奏中にテンポを自由に揺らすことを可能にするため。
歌を歌いながら演奏できるように、ギア比とクランクの形状、オルゴールの高さや重心位置等に留意する。

E 音量
コンタクトマイクで採った音を丈夫なソリッドステート・アンプとモノラル・スピーカーを通して増幅する。電源は当初AC100Vのみ、2号機からはリチウムイオン・バッテリーも使用できるようにする。また、歌の音声もミキシング(要ボリューム)して流せるようにする。
外部出力端子を用意する。

★ フェイズ2 設計
* 使用部品
SRや白銅等のような試作品製造業界のカタログ販売を極力使って、高価なオーダーメイドの部品点数を削減する。
特殊な部品は櫛歯とスターホイールに限定する。
機構部品についても既製品を極力使用する。
櫛歯のベッドプレートはBC製の市販アングル材を加工して使用。
シャフトやギア、ベアリング等を支持するフレームは、エンジニアリング・プラスチックを外注で機械加工して制作する。

* 外観
外装ケースは木目の綺麗な木材を使用し、装飾はマーケットリーとする。
外から見える金属部品は研磨したBC製とする。
運搬時には一つのケースに全てを収容できるように留意する。
スタンドはオプション。

★ フェイズ3. 制作
機械加工、熱処理は町工場に依頼。
ケース等の木工作業は木工を得意とする工房に依頼。

★ フェイズ4. 編曲
ディスクから演奏データをパソコンにCSVフォーマットで採りこむ採譜機(写真3)が開発済みであるので、当面はそのデータを音のキャンバスでpdf出力して演奏カードを作る。
新たな編曲作業を引き受けてくれる人材を探さねばならない。

新たな機械の開発なので、手に負えない問題が途中で発生し、成果を上げることなくプロジェクト放棄に至る可能性も有りますが、このホームページを閲覧されている皆さまの温かいご支援をお願い申し上げます。

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