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◆ マルチプル・ディスク ( multiple-disc music box ) ◆
Essay018 掲載 2005/12/9
のの自由度を改善するために、を大きくする方向と複数のディスクを同時に回転させる方向とがありました。ディスクを大きくする方法ではコメット社の直径あたりが限界でしょう。 複数のディスクを同時に回転させるタイプをと呼びます。マルチプル・ディスクのオルゴールは素晴らしい演奏が出来るのでオルゴール博物館や個人コレクションのハイライトになります。
最も多く作られたマルチプル・ディスクは製のでしょう。エロイカはマルチプル・ディスクのオルゴールでは最も成功した機種で、当時も高価だったにもかかわらず今でも比較的たくさん見られます。音も編曲も優れたもので、サンプルとして「埴生の宿」をお聞きください。
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シンフォニオン社製のツイン・ディスクのDuplex No.25です。サイズ 高35cm 幅88cm 奥行51cmでそれほど大きなものではありません。 上は撮影記録なし。 下の写真は東京都文京区にあるオルゴールの小さな博物館の好意で撮影したものです。
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右の写真の左側はアドラー( Adler )のNo.100のです。このオルゴールはサイズが 高270cm 幅160cm 奥行60cm 重量が228Kgという大きなものです。 この写真は神戸市六甲山にあるホール・オブ・ホールズ六甲の好意で撮影したものです。 右の写真の右側はロッホマン オリジナル社( Lochmann Original )製のツイン・ディスクのレプリカです。 撮影記録なし。
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左の写真の左側は1980年代前半に作られたジェミニ・ポリフォンです。 この写真は東京都文京区にあるオルゴールの小さな博物館の好意で撮影したものです。 右は最近レスター・ジョーンズ氏が製作しているポリフォン24インチのツイン・ディスク・モデルです。彼は横に24インチのディスクを3枚並べてセットするトリプル・ディスク・モデルも注文に応じて製作するそうです。ポリフォン社の試作品は残っていないと思われるので、これはレプリカではなくて彼のと言えますでしょう。 撮影記録なし。
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ディスクを2枚同時に演奏するツイン・ディスク型は数社が手掛けました。 シンフォニオン社 エロイカとDuplex25 (上の写真参照)以外に、大きなディスクを2枚同時に演奏するアップライト型ピアノに似たケースに収められたStyle No. 292Gがごく少量作られたようです。の232ページにこれに関する記述と写真が掲載されています。外観は上のアドラーに良く似ています。サイズは高158cm 幅160cm 奥行60cmと大きなものですが、これのディスク3枚型の大きなものも作られました。
フォーチュナ社( Fortuna ) またはアドラー社( Adler ) 24インチ1/2という大きなディスクを2枚使用するツイン・ディスク型が作られました。価格はエロイカの約1/3でしたが営業的には失敗だったようです。
ロッホマン オリジナル社 中段右側写真の原型となった付きで24インチ3/8のディスクを2枚同時に演奏するオルゴールが作られました。日本にはオリジナルのものが2台ありますが、1台は堀江オルゴール博物館に収蔵され公開されています。サイト・オーナーは博物館が開業した当初にこれを聞く機会に恵まれましたが、素晴らしい編曲とチューブラー・ベルのバランスのとれた少し小さめの音が櫛歯の良質で大きめの音と相俟って、今まで聞いたオルゴールの中ではベスト3に入るものと思いました。
モノポール社 ( Monopol ) モノポール社から少なくとも1台は販売されたもの(1台しか残存していない)で、背の高い(約2.6m)のケースに26インチ1/2(70cm)のディスクが縦(上下)に並べられているものです。ディスクが中央のスプロケットで駆動され、上下のディスクが互いに逆回転するという変わったものです。エンサイクロペディアの131ページにこれに関する記述と写真が掲載されています。
アメリカのシンフォニオン社 (Symphonion Manufacturing Co, New York ) またはImperial Symphonin。 ドイツのシンフォニオン社がアメリカに開設した子会社です。ケースのデザインが同じ様式で、17インチ5/8のディスクを、1枚、2枚、3枚使用する3種類のオルゴールを作りました。堀江オルゴール博物館には、この3台が並べて展示されていて壮観です。エンサイクロペディアの235、236ページにこれに関する記述と写真が掲載されています。このうち3枚のディスクを使用するオルゴールはPianophon No.306Pと呼ばれ多分、現存する最大のオルゴールなのでしょう。当時のカタログのリプリントによればサイズは高158cm 幅160cm 奥行60cm、重量は265Kgもあるそうです。
マルチプル・ディスクのオルゴールはいずれも素晴らしい音楽を演奏しますが、当時は営業的には成功したとは言えませんでした。あまりにも高価で大きくになりすぎたため量産されること無く、エロイカ以外は試作的な段階で終わったものばかりのようです。その為サザビーズやのを見ていても、なかなか出品されません。特に大きなツイン・ディスクはほとんどに出て来ません。
最近になってマルチプル・ディスクのオルゴールが作られるようになりました。ロッホマンやモノポールのレプリカ(中段の写真参照)のほかにオリジナル設計のものも作られています。
最もありふれたアップライト型ディスク・オルゴールであるポリフォン104型のと19インチ5/8のディスクを2組使ったツイン・ディスクのオルゴールが作られました。1970年代から1980年初頭までBrian Etches氏がルイ14世様式のコモド(洋家具のサイトをご覧ください)に収容したものを作りました。ついでキース・ハーディング氏( Keith Harding )がシンプルなケースに収めたものをジェミニ・ポリフォンという名で販売し、日本にも何台か(写真下段左側参照)が輸入されています。
最近になってからレスター・ジョーンズ氏が作ったマルチプル・ディスクのオルゴールが発売されています。これはポリフォンの24インチ1/2のディスクを使用するもので、2枚のディスクを縦にセットする背の高いもの(写真下段右側参照)と3枚のディスクを横にセットする横幅の広いものがあり、現在でも注文に応じています(MBSGB機関誌の広告参照)。1999年頃にノーフォ−ク・ポリフォン・センターという工房でポリフォン24インチのダブルとトリプルを試作したようです。ここの作品は日本に入っていないようで、もすぐに打ち切られました。
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